目次
スピード指数とは
走破タイムをベースに算出した、そのレースにおける各馬の能力を数値化したものです。
競馬場、距離、馬場状態など、条件が違うレースでも比較が可能な値になっています。
1970年代に、アメリカの競馬評論家アンドリュー・ベイヤー氏が考案したベイヤー指数が起源と言われており、日本でもこのベイヤー指数を参考に日本版に作られたスピード指数がたくさんあります。
日本での先駆けは「西田式スピード指数」で、現在もサービスを続けており、昔からのスピード指数ファンから長く愛されています。
スピード指数の計算式
スピード指数のサービスはたくさんありますが、ほとんどのサービスで日本での先駆けとなった西田式スピード指数の計算式が参考にされています。
その西田式スピード指数の計算式は下記のとおりです。
-
スピード指数 = ( 基準タイム - 走破タイム ) × 距離指数 + 馬場指数 + ( 斤量-55) × 2 + 80
それではひとつずつ解説していきます。
基準タイム
基本的な基準タイムの作成方法
競馬場・トラック・距離ごとに設定されているものになります。
算出方法は、競馬場・トラック・距離ごとに、過去3年分の
-
・3歳上 / 4歳以上
・1勝クラス
・良 / 稍重
・入線順位1~3着馬
上記条件の走破タイムの平均を出す
(牝馬限定戦を除く) -
・3歳上 / 4歳以上
・2勝クラス
・良 / 稍重
・入線順位1~3着馬
上記条件の走破タイムの平均を出す
(牝馬限定戦を除く) - それらを更に平均する
上記が基準タイムとなります。
1勝クラス・2勝クラスのレースが少ない、もしくは存在しないコースの場合
コースによっては、年に一度しか行われない距離のコースがあり、データ数も少ない場合があります。
そういったコースでは、その存在するタイムを元に補正して基準タイムを設定する必要があります。
その補正には「クラス指数」の作成が必要です。
クラス指数については次項で触れますが、簡単に説明するとクラスごとの指数差です。
データ数が少ないコースでは、存在するクラスの平均走破タイムを「クラス指数の指数差 ÷ 距離指数 ÷ 10」で秒換算し、基準タイムを補正する。
馬場指数で基準タイムを補正する
基準タイムも馬場状態に影響を受けています。
馬場状態を指数化した馬場指数を使い、基準タイムを補正します。
(馬場指数について詳しくは後述してありますので、そちらをご覧ください)
競馬場・トラック・距離ごとに、3歳以上1勝クラス・3歳以上2勝クラス、それぞれの平均馬場指数を算出し、距離指数で割って行換算し基準タイムを補正します。
クラス指数
クラス指数とは、クラスごとの指数差を表すものです。
算出方法は、以下の通りです。
①コース別・クラス別に走破タイムの平均を算出する
まず、競馬場・トラック・距離・クラスごとに、下記の条件で過去3年分の走破タイムの平均を算出します。
ここでいうクラス分けは、【 1勝 / 2勝 / 3勝 / オープン / G3・G2 / G1 】の6カテゴリです。
- 3歳限定 / 3歳上 / 4歳以上
- 良 / 稍重
- 入線順位1~3着馬
- 混合戦 / 牝馬限定戦
上記条件の走破タイムの平均を出す。
②基準タイムとのタイム差からクラス指数を作成
上記①で算出したクラス別の平均走破タイムと、コース別の基準タイムを使いクラス指数を算出します。
「( 基準タイム - クラス別の平均走破タイム ) × 距離指数 = 指数差」で算出します。
(距離指数については次項を参照)
③表開催グループと裏開催グループ、芝とダート別に、クラスごとの平均指数差を算出する
表開催 (東京・中山・京都・阪神・中京)
クラス | 芝 – 混合 | 芝 – 牝限 | ダ – 混合 | ダ – 牝限 |
---|---|---|---|---|
1勝 | -3 | -5 | -5 | -8 |
2勝 | 3 | -1 | 5 | 0 |
3勝 | 8 | 5 | 15 | – |
OP | 12 | 9 | 20 | – |
G3 / G2 | 16 | 13 | 23 | – |
G1 | 20 | 15 | 25 | – |
裏開催 (札幌・函館・福島・新潟・小倉)
クラス | 芝 – 混合 | 芝 – 牝限 | ダ – 混合 | ダ – 牝限 |
---|---|---|---|---|
1勝 | -3 | -6 | -6 | -8 |
2勝 | 3 | -1 | 6 | 0 |
3勝 | 8 | 5 | 14 | – |
OP | 12 | 8 | 17 | – |
G3 / G2 | 15 | 10 | 20 | – |
G1 | 20 | – | – | – |
3歳限定戦
クラス | 芝 – 混合 | 芝 – 牝限 | ダ – 混合 | ダ – 牝限 |
---|---|---|---|---|
未勝利 | -13 | -15 | -15 | -17 |
1勝 | -5 | -7 | -7 | -9 |
2勝 | 0 | -2 | 0 | -2 |
OP | 5 | 3 | 7 | 5 |
G3 / G2 | 10 | 8 | 13 | 11 |
G1 | 13 | 11 | – | – |
距離指数
極端な例になりますが、100m走とマラソンでは、1秒の価値はぜんぜん違ってきます。
競馬でも同様に、1000m戦と3600m戦では1秒の価値が違ってきます。
それらのレースを同じ水準で比較できるように補正をかけてあげるものが距離指数になります。
ちなみに私は、芝・ダート別かつ、実戦で使いやすいように補正にしたオリジナルの距離指数を使って独自の指数を作成しています。
CrossFactorで使用している距離指数
距離 | 芝 | ダート |
---|---|---|
1000m | 1.8 | 1.7 |
1150m | 1.52 | 1.45 |
1200m | 1.45 | 1.39 |
1300m | 1.34 | 1.27 |
1400m | 1.23 | 1.18 |
1500m | 1.12 | 1.08 |
1600m | 1.06 | 1.02 |
1700m | 1.00 | 0.94 |
1800m | 0.93 | 0.88 |
1900m | 0.88 | 0.83 |
2000m | 0.83 | 0.79 |
2100m | 0.79 | 0.75 |
2200m | 0.75 | 0.7 |
2300m | 0.71 | 0.67 |
2400m | 0.68 | 0.64 |
2500m | 0.64 | 0.61 |
2600m | 0.62 | 0.59 |
2800m | 0.56 | 0.53 |
3000m | 0.53 | 0.5 |
3200m | 0.50 | 0.47 |
3400m | 0.47 | 0.44 |
3600m | 0.45 | 0.42 |
馬場指数
例えば、同じ良馬場でも時計が早い馬場、時計が掛かる馬場、というものが存在します。
同じ良馬場なのに今日は時計が早いな、今日は時計が掛かるな、というあれです。
そういった馬場状態を数値化して補正するのが馬場指数です。
スピード指数の肝ともいえるところですね。
馬場指数の計算手順
①馬場指数算出用レースの選定
まず、その日のレースの中で、3歳上、4歳上のレースを選び、1~3着馬の平均タイムを算出する
但し、スローペースのレースは除きます。
②下記の計算式で、暫定馬場指数を算出する
該当するレースにおいて、下記の計算式を使い、暫定馬場指数を算出します。
(馬場指数用基準タイムの作成方法については後述してあります)
③芝・ダート別にその日の平均を求める
それを一日を通してチェックし、この日の芝レースの馬場指数、ダートレースの馬場指数、という感じで算出します。
上記を馬場指数とします。
馬場指数用基準タイムの作成方法
馬場指数用の基準タイムは、競馬場・トラック・距離・馬齢クラス(3歳上 / 4歳上のみ)ごとに設定されているものになります。
例えば、中山競馬場・ダート・1800m・3歳上・2勝クラスの馬場指数用基準タイムは●●といった感じです。
馬場指数用基準タイムの作成は下記のとおりです。
馬場指数用基準タイム = 基準タイム - (クラス指数 × 距離指数)
斤量補正
重い斤量を背負っていた馬や軽い斤量を背負っていた馬がいますが、それらを斤量55kgで走っていたと仮定するために補正します。
斤量1kgあたり指数2(0.2秒)という仮定の元に算出されます。
(斤量 - 55)× 2
私の場合は、馬体重と距離による補正も行い、独自の指数に反映させています。
斤量が走りに影響を与えるのは馬体重の12%あたりからと言われています。
ただ、それをそのまま指数に反映しようとすると、400kgを切るような軽量馬には毎回かなり大きな斤量補正が入ることになり、そのままでは使えません。
また、1000m戦と3600m戦では、重量の影響度合いも違ってくると考えており、その両方を加味した斤量補正を行っています。
+80
算出された数字を見やすくするために足される数字です。
これは別に60でも100でも問題ありません。
スピード指数の課題
スローペースの際、指数値が小さくなる
走破タイムをベースとしているだけに、スローペースの場合はその能力を正確に数値化できなくなります。
JRDBや木下健のアルファベース指数、ハイブリッド指数などのスピード指数は、独自にスローペースを補正しています。
ハイブリッド指数では、競馬場・トラック・距離別に、スローペース関数という関数を作り、スロー度合いによって補正具合を変更しています。
興味のある方は説明ページを見てみると良いと思います。(10ページあります)
このスローペース関数によるスローペース補正の方法はとても理にかなったスローペース補正となっています。
レース中の不利やコースロスなどが反映されない
まぁ走破タイムをベースとしているので当然と言えば当然なのですが、レース中の不利やコースロスなどは指数に反映されていません。
上記のJRDBや木下健のアルファベース指数などは、レース映像を分析して、これらの不利やコースロスなどを補正してあります。
過去指数を見た際、馬の成長が加味されていない
例えば2歳新馬戦をダートで走り指数50、その後ずっと芝レースを使い続けて久しぶりにダートレースに出走、その予想を行う際に過去のダートの指数を見た場合、指数50という値しかわからない、という状態になります。
私は、過去の指数データの成長曲線から、独自に成長補正を行った指数を使って予想をしています。
芝・ダートが異なる場合、単純に指数で比べることができない
芝レースとダートレースでは、必要な能力が異なるため、同トラックデータでないと指数予想は難しくなります。
ダートコースをとても重い馬場の芝コース、芝コースをとても速い馬場のダートコースのように扱えば同じ水準での比較も可能ですが、そもそも求められる能力が違いますので比較しない方が良いでしょう。
スピード指数まとめ
現在はスピード指数での競馬予想が浸透しすぎて、スピード指数そのままで馬券で儲けるのは難しいです。
私の場合、スピード指数を適正の判定などに使用しています。
成長補正を行った指数で、過去データから同トラックでの近距離での指数分布を見たり、競馬場の適性を見たりしています。