目次
卍さんの馬券術の概要と使用ソフト
競馬で1億5000万円稼ぎ、税金関係で裁判となった馬券裁判男「卍」さんの馬券術についてまとめてみました。
私の競馬観に多大な影響を与えてくださった卍さん、その馬券術について「完全解説」します。
そして最後には、一般の競馬ファンにも卍さんの馬券術を再現したり、その上を目指す方法も紹介していますので、是非最後までご覧ください。
卍さんの馬券術の概要
卍さんの馬券術をシンプルにまとめると下記のとおりです。
- 過去データから回収率が高い条件を抽出して加点、逆に回収率が低い条件を抽出して減点して、各馬の得点を算出
- 得点が高い馬=回収率が高い馬、ということになる
- 得点が高くにも関わらず、人気しすぎていない馬、つまり期待値が高い馬を馬王という競馬ソフトを使って機械的に自動購入
過去データから期待値が高い馬を導き出し、競馬ソフトを使って自動購入…
まさに夢のような馬券術ですね。
それでは、その馬券術を深掘りしていきましょう。
卍さんの使用ソフト
当時は「馬王4」という競馬ソフトを使っていました。
現在はその最新版となる「馬王Z」があります。
馬王Zは、無料でも使えますが、競馬最強の法則の馬王Zの有料会員になることで自動投票などのすべての機能を使えるようになります。
データは、馬王データとJRDBという競馬サービスのデータを組み合わせて使用していました。
ただ、プログラミング知識のない一般の競馬ファンでは、馬王ZのデータにJRDBデータを連結させて使用するというのは、かなり敷居が高いのが現状と言えます。
このあたりの解決方法も後述していますので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
卍さんの考え方
卍さんの馬券投資に対する考え方をみていきましょう。
勝ち馬を予想しない
- そのような現実を目の当たりにして、「競馬は強い馬が必ず勝つとは限らない」と実感するようになる。
- その結果、「強い馬を買う」という予想スタンスから、「過小評価されている馬を買う」という予想スタンスへ変化していった。
- そして、「勝ち馬を予想しない」ことに目覚める。
能力が高い馬を探すことを「やめる」ことこそが、回収率100%を超えるための第一歩だと考えており、的中率よりも回収率を重視しています。
各馬に点数を付ける
卍さんはさまざまなファクターに基づいて、各馬に点数を付けています。
具体的には、下記のとおりです。
- 過去に同一レースに出走していて、着順が良かったほうの馬にマイナス1点、着順が悪かった方にプラス1点
- 近走で、出遅れたことがある馬はプラス1点
- 近走で、同中で振りを受けたレースがある馬はプラス1点
- 近走で、勝ち馬から0.5秒以内ならプラス1点、0.2秒差以内ならさらにプラス1点
- 今走が芝の場合、近走(過去5走)でダートで好走している馬はマイナス1点、凡走している馬はプラス1点
- 今走が良馬場の場合、近走で不良馬場で構想している馬はマイナス1点、凡走している馬はプラス1点
上記のとおり、卍さんの得点は、回収率が高そう(過小評価されていそう)な馬に加点評価を加え、回収率が低そう(過大評価されていそう)な馬には減点評価をするというものとなっています。
得点のファクター
それではその得点には、どういった予想ファクターが含まれているのでしょうか。
卍さんは、さまざまな切り口から過去データを分析し、回収率面で有意な傾向があるかどうかを検証していました。
例えば、「前走着順」「血統」「騎手」「枠順」「負担重量」などなど、そのファクターは多種多様です。
その際、的中率は無視しています。
検証した結果、回収率との関係に明確な、あるいは普遍的な傾向が見いだせないファクターについては、得点に反映させないようにしています。
「仮説を立て、検証する」という流れですね。
そして、信頼度の低いファクターは排除し、信頼度の高いファクターのみを採用することで、ノイズを減らし予想精度を高めています。
ファクターはできるだけ多い方が良く、卍さんは当時45のファクターを採用していました。
また、他の競馬ソフトを使って分析効率や予想効率を上げていました。
ファクターのカテゴリ
ファクターは全部で45項目、それを10カテゴリーに分けれらていました。
10カテゴリーの内訳は以下のとおりです。
- 馬種別
マル外など各馬に関する情報。 - 遠征
関東遠征、関西遠征に関するもの。 - 過去レース評価
前走の着順、頭数、ペースなど。 - 血統
父や母父の実績など。 - コース適正
芝、ダートの適性や坂の適性など。 - 今回レース条件
減量騎手など。 - 性別
基本的に牡馬の方が回収率が高い。 - 調教師
調教師別に得点。 - ローテーション
ローテーション別に得点。 - レース条件変化
距離短縮や、ブリンカーなど。
具体的なファクターについて
具体的なファクターについては以下のとおりです。
- 馬王デフォルト得点
馬王のデフォルト得点は、馬王というソフトを使う以上、他の馬王ユーザーと買い目がかぶってしまうのを防ぐため絶対使わないと決めていた。 - 前走着順
前走着順によって得点を加減点していた。 - 騎手
個別の騎手ではなく、リーディング下位からトップ10に乗り替わったときに加点するというような感じで使っていた。減量騎手も加点対象だし、斤量は斤量で加点対象だった。 - コース
コース限定にするとサンプル数が減ってしまうので、コースの特徴で大きくカテゴリ分けをしている。直線の坂が上りか下りか、カーブが緩いかキツいかなど。 - JRDBデータ
IDM、蹄、基準オッズを採用。ダートは蹄が小さい方が回収率が良かったため採用、基準オッズは低い馬ほど減点(低い馬ほど過剰評価されて回収率が悪いということ)。 - 血統
種牡馬ごとの距離適性、芝ダートの適性を調べて、今回のレース条件に合致するか否かで評価している。 - 馬場状態
サンプル数が少なすぎて信頼度の高いデータが得られないため、考慮していない。(脚質は考慮してよさそう) - トラックと性別
トラックと性別から、回収率を分析し加減点。 - トラック変更と馬齢
2歳戦のトラック変更など。
2~3歳戦だとダート適正がはっきりしていないため過小評価につながる。
日本の競馬は芝の方が高評価なので芝好走⇒ダートとかだと過大評価されていたりする。 - 芝スタートのダートコースと枠順
芝スタートのダートコースだという認知が世間で薄いコースで特に有効。 - トラックと馬体重
馬体重は順位で分析する。全馬が小さい、全馬が大きいなどのパターンがあり得るため。
なお、馬体重は前走馬体重を採用している。卍は新馬戦をしないので。 - 馬体重と馬齢
2歳戦は馬体重が重い方が良いとか、軽量の人気馬は危険など。 - 馬体重と季節
冬の大型馬は強いらしい。 - 馬番
奇数馬番、偶数馬番。 - 季節と性別
夏の牝馬。7、8月のトラック別性別の成績。 - 距離変更と馬齢
2歳戦の短縮、同距離、延長など。 - ローテーション
連闘、中〇週、叩き〇走目など。トラックや前走着順で分析。 - キャリア
2、3歳戦では、キャリアが多いほど回収率が上がる。 - 前走ペース
ダートの場合は前走ハイペースだった馬ほどプラス評価、芝は前走スローペースだった馬ほどプラス評価。指数競馬の裏をかく。 - 血統
血統は7項目。トラック成績、距離成績、馬齢成績などなど。
種牡馬は種牡馬ごとの距離適性、トラック適正が今回のレース条件に合致するかどうかで評価していた。 - 種牡馬や騎手は近年の傾向をチェック
種牡馬、騎手などは、多くの馬券購入者が注目するので、数年で回収率の傾向が大きく変わる。
なので、血統や騎手をここに予想に取り入れる場合は、回収率の傾向が変わったかどうかを定期的にチェックすべき。
年度毎に重みづけをして、傾向を自動で出すのが良さそう。但し母数が少ないものは除外。
得点について
得点は単純に足し算となっています。
それを直前オッズと比較して安い買い目(期待値が低くなるため)は削っていく、そういう計算式を馬王内部で作っていました。
その計算式は、本命サイドにはならないような仕組みになっているため、トリガミには絶対にならないようになっています。
また、卍さんはJRDBの基準オッズを使って、人気馬が沈みそうなレースは、他の馬の点数が高くなるように補正しています。
個々のファクターでは小さな回収率の差であっても、さまざまなファクターを組み合わせることで、高い回収率を計測できるようになります。
そして小さなファクターを組み合わせることで、得点が高ければ高いほど回収率が高い、そういうデータが出来上がるのです。
卍さんの馬券の買い方
卍さんの馬券の買い方について見ていきましょう。
馬券種
- 複勝、ワイドは、予想の精度を上げることと人気薄馬を中心に狙うことが大事。
- 3連複は、どのくらいの配当ゾーンを狙うかによって必要資金が変わる。
- 10倍未満なら10万円あれば十分だが、1000倍以上の買い目だけを狙うなら1000万円ぐらい欲しい。
買い目
- 馬単、馬連、ワイドなどは、2頭の馬の合計点数に基づいて、回収率が100%を超えるような合計得点のしきい値を、過去データに基づいて決定。
- 合計得点と回収率の関係を導き出し、その結果に基づいて買い目を抽出。
- 買い目ごとに点数(おいしさ指数)を計算して、それとオッズを比較して買うべきかどうかを決めている。
- 直前オッズと比較して、安い買い目は除外しているため、買い目は虫食い状態になる。
- オッズが低い買い目ほど儲かりにくいので、そこを削ると良くなる。
- 券種は完全に独立して考える。
- PATの投票1回でまとめて飛ぶのが50件が限界なので、7分前から馬券を買いだす。
買い目のゾーン
買わないゾーン
- そもそも低得点ゾーン
- 高得点だけど、低配当ゾーン
- 高得点だけど、高配当すぎるゾーン。サンプル数が少なくアテにならない
- 10万馬券(1000倍以上)は買っていない
- 高配当すぎるゾーン。超大穴は回収率がすごく低い。全通り買いする人がいるので買い人気の馬が過剰人気になっている
買うゾーン
- 指数がそこそこ高くて、オッズもそこそこ高いゾーン。
- そこに一番儲かる馬券が転がっているイメージ。
対象レース
- 新馬、障害を除く全レースが対象。
- 得点が低い馬ばかりのレースは買わない。
- 得点が高い馬がいないレースは買わない。
- 1番人気が飛ぶレースだけを選ぶだけで回収率はだいぶ変わるため、1番人気の信頼度をチェックしている。
金額式
卍さんは「残高の8%が払い戻される」ようにロジックを組んでいました。
例えば残金が100万円の場合、100万円×0.08÷オッズ、
オッズが4倍の場合、8万円÷4(オッズ)=2万円。
的中すれば8万円が払い戻されるように購入金額を調整していたということです。
また、上記の計算で100円に満たない場合は大穴すぎるため買わないようにしていていました。
例えば、8万÷1000(倍)=80円となり、こういう場合は購入しないということです。
得点計算式や抽出条件の修正
得点の計算式等は、半年スパンで見直しをしていました。
数か月だと運要素が大きくわからないため、ある程度のスパンを空けていたようです。
自分の投票によるオッズ下落を考慮する
卍さんは自身の投票によるオッズの下落も考慮して馬券を買っていました。
実際に購入した「買い目」を分析する
過去のデータ分析よりも大事なのが、自分が実際に購入した買い目の分析です。
特定の券種だけ成績が悪い、特定の競馬場だけ成績が悪い、特定の時期だけ成績が悪いといった、自分の買い方の弱点が見えてくるため、そこを修正することで成績が大幅にアップします。
単勝の成績が悪い場合、卍さんは、単勝の買い方を変えたり、単勝の掛け金を減らしたり、単勝を買うのを一時的に中断したりといった対策をとっていました。
卍さんの馬券術を実践するには
卍さんの馬券術を再現するには、競馬の知識もさることながら、プログラミングの知識も必要になってきます。
- 馬王ZのデータベースとJRDBのデータベースを連結させる
- データ分析用のSQL文を書く
- 馬券購入ロジックのSQL文を書く
上記のようなスキルが必要になります。
もしプログラミングの知識がない場合や、より多角的な分析をされたい方は、Team.Dが開発している「CrossFactor」をご利用ください。
- JRDBを含めた多数の競馬サービスのデータの取り込み
- より詳細なデータ分析
- 各種ファクターを自由に組み合わせて得点条件を設定
- 得点の自動生成
- オリジナルロジックで馬券シミュレーション
- 自動購入
上記のような機能があり、プログラミングの知識も一切必要ありません。
競馬データ分析&自動購入ソフト CrossFactor 機能紹介ページ
以上で、卍さんの馬券術の解説とさせていただきます。
それでは素敵な馬券ライフを!