私の競馬観に多大な影響を与えてくださった、馬券裁判で有名な卍さんの馬券術についてまとめてみました。
卍さんの馬券術の概要と使用ソフト
卍さんの馬券術のおおまかな概要と、使用していたソフトについてみていきましょう。
卍さんの馬券術の概要
馬毎に、過去データから回収率が高い条件を抽出して加点、逆に回収率が低い条件を抽出して減点して、各馬の得点を算出。
得点が高い馬=回収率が高い馬、ということになる。
得点が高くて人気しすぎていない馬や組み合わせを機械的に自動購入する、という馬券術。
卍さんの使用ソフト
馬王4。
馬王4のサポートが終了予定のため、今から使用するなら馬王Zになる。
馬王Zは、無料でも使えますが、競馬最強の法則の馬王Zの有料会員になることで自動投票などのすべての機能を使えるようになります。
⇒ 競馬最強の法則WEB
データは、馬王データとJRDBデータ。
JRDBデータは、DBmanというソフトを使ってmdbに落としている。
卍さんの考え方
卍さんの馬券投資に対する考え方をみていきましょう。
勝ち馬を予想しないという考え方
スピード指数は毎回変動し、スピード指数の思考では絶対に来ないと思われる馬が馬券に絡むことが何度もあった。
そのような現実を目の当たりにして、「競馬は強い馬が必ず勝つとは限らない」と実感するようになる。
その結果、「強い馬を買う」という予想スタンスから、「過小評価されている馬を買う」という予想スタンスへ変化していった。
そして、「勝ち馬を予想しない」ことに目覚める。
能力が高い馬を探すことを「やめる」ことこそが、回収率100%を超えるための第一歩。
的中率よりも回収率を重視する。
各馬に点数を付ける(昔のやり方で馬券収支はややプラス程度)
さまざまなファクターに基づいて各馬に点数を付ける。
具体的には、
- 過去に同一レースに出走していて、着順が良かったほうの馬にマイナス1点、着順が悪かった方にプラス1点
- 近走で、出遅れたことがある馬はプラス1点
- 近走で、同中で振りを受けたレースがある馬はプラス1点
- 近走で、勝ち馬から0.5秒以内ならプラス1点、0.2秒差以内ならさらにプラス1点
- 今走が芝の場合、近走(過去5走)でダートで好走している馬はマイナス1点、凡走している馬はプラス1点
- 今走が良馬場の場合、近走で不良馬場で構想している馬はマイナス1点、凡走している馬はプラス1点
といった感じで、回収率が高そう(過小評価されていそう)な馬に加点評価を加え、回収率が低そう(過大評価されていそう)な馬には減点評価をするというもの。
得点のファクター
さまざまな切り口から過去データを分析し、さまざまなファクターについて、回収率面で有意な傾向があるかどうかを検証。
例えば「前走着順」における単勝回収率、他にも「血統」「機種」「枠順」「負担重量」など、ファクターはさまざま。
その際、的中率は無視する。
検証した結果、回収率との関係に明確な、あるいは普遍的な傾向が見いだせないファクターについては、ユーザ得点に反映させないようにしている。
仮説を立て、検証する。
信頼度の低いファクターは排除し、信頼度の高いファクターのみを採用することで、ノイズを減らし予想精度を高める。
例えば5~8着のところが盛り上がるような、なだらかなグラフ(回帰曲線)になるように作成している。
一次関数や二次関数、三次関数などを使っている。
ファクターはできるだけ多い方が良い。
卍さんは最終的に約40のファクターを採用していた。
他の競馬ソフトを使って分析効率や予想効率を上げている。
ファクターのカテゴリ
全部で45項目。10カテゴリーに分けれらている。
10カテゴリーの内訳は以下。
1.馬種別
マル外など各馬に関する情報
2.遠征
関東遠征、関西遠征に関するもの
3.過去レース評価
前走の着順、頭数、ペースなど。
4.血統
父や母父の実績。
5.コース適正
芝、ダートの適性や坂の適性など。
6.今回レース条件
減量騎手など。
7.性別
基本的に牡馬の方が回収率が高い。
8.調教師
調教師別に得点。
9.ローテーション
ローテーション別に得点。
10.レース条件変化
距離短縮や、ブリンカーなど。
具体的なファクターについて
◆ 馬王デフォルト得点
馬王のデフォルト得点は、馬王というソフトを使う以上、他の馬王ユーザーと買い目がかぶってしまうのを防ぐため絶対使わないと決めていた。
◆ 前走着順
前走着順によって得点を加減点していた。
◆ 騎手
個別の騎手ではなく、リーディング下位からトップ10に乗り替わったときに加点するというような感じで使っていた。減量騎手も加点対象だし、斤量は斤量で加点対象だった。
◆ コース
コース限定にするとサンプル数が減ってしまうので、コースの特徴で大きくカテゴリ分けをしている。直線の坂が上りか下りか、カーブが緩いかキツいかなど。
◆ JRDBデータ
IDM、蹄、基準オッズを採用。ダートは蹄が小さい方が回収率が良かったため採用、基準オッズは低い馬ほど減点(低い馬ほど過剰評価されて回収率が悪いということ)。
◆ 血統
種牡馬ごとの距離適性、芝ダートの適性を調べて、今回のレース条件に合致するか否かで評価している。
◆ 馬場状態
サンプル数が少なすぎて信頼度の高いデータが得られないため、考慮していない。(脚質は考慮してよさそう)
◆ トラックと性別
トラックと性別から、回収率を分析し加減点。
◆ トラック変更と馬齢
2歳戦のトラック変更など。
2~3歳戦だとダート適正がはっきりしていないため過小評価につながる。
日本の競馬は芝の方が高評価なので芝好走⇒ダートとかだと過大評価されていたりする。
◆ 芝スタートのダートコースと枠順
芝スタートのダートコースだという認知が世間で薄いコースで特に有効。
◆ トラックと馬体重
馬体重は順位で分析する。全馬が小さい、全馬が大きいなどのパターンがあり得るため。
なお、馬体重は前走馬体重を採用している。卍は新馬戦をしないので。
◆ 馬体重と馬齢
2歳戦は馬体重が重い方が良いとか、軽量の人気馬は危険など。
◆ 馬体重と季節
冬の大型馬は強いらしい。
◆ 馬番
奇数馬番、偶数馬番。
◆ 季節と性別
夏の牝馬。7、8月のトラック別性別の成績。
◆ 距離変更と馬齢
2歳戦の短縮、同距離、延長など。
◆ ローテーション
連闘、中〇週、叩き〇走目など。トラックや前走着順で分析。
◆ キャリア
2、3歳戦では、キャリアが多いほど回収率が上がる。
◆ 前走ペース
ダートの場合は前走ハイペースだった馬ほどプラス評価、芝は前走スローペースだった馬ほどプラス評価。指数競馬の裏をかく。
◆ 血統
血統は7項目。トラック成績、距離成績、馬齢成績などなど。
種牡馬は種牡馬ごとの距離適性、トラック適正が今回のレース条件に合致するかどうかで評価していた。
◆ 種牡馬や騎手は近年の傾向をチェック
種牡馬、騎手などは、多くの馬券購入者が注目するので、数年で回収率の傾向が大きく変わる。
なので、血統や騎手をここに予想に取り入れる場合は、回収率の傾向が変わったかどうかを定期的にチェックすべき。
年度毎に重みづけをして、傾向を自動で出すのが良さそう。但し母数が少ないものは除外。
得点について
単純に足し算。
それを直前オッズと比較して安い買い目は削っていく、そういう式を作っている。
本命サイドにはならないような仕組みになっているので、トリガミには絶対にならない。
卍さんの馬券の買い方
過去データを分析し、独自の得点計算式と抽出条件と金額式を設定して、馬券を自動購入。
買い目
小さな回収率の差でも色々なファクターを組み合わせることで、高い回収率を計測できるようになった。
そして、ユーザー得点が高ければ高いほど単勝回収率が高い、そういうデータが出来上がった。
馬単、馬連、ワイドなどは、2頭の馬の合計点数に基づいて、回収率が100%を超えるような合計得点のしきい値を、過去データに基づいて決定した。
合計得点と回収率の関係を導き出し、その結果に基づいて買い目を抽出するようにした。
買い目ごとに点数(おいしさ指数)を計算して、それとオッズを比較して買うべきかどうかを決めている。
オッズが低すぎておいしくない買い目を除外しているから虫食い状態になってしまう。
IDMが高くて人気が低い馬は、おいしさ指数が高く算出されるのではないかと推測される。
直前オッズと比較して、安い買い目は削る。よって買い目が虫食い状態になる。
オッズが低い買い目ほど儲かりにくいので、そこを削ると良くなる。
券種は完全に独立させる。
PATの投票1回でまとめて飛ぶのが50件が限界なので、7分前から馬券を買いだしていた。
買い目のゾーン
買わないゾーン
- そもそも低得点ゾーン
- 高得点だけど、低配当ゾーン
- 高得点だけど、高配当すぎるゾーン。サンプル数が少なくアテにならない
- 10万馬券(1000倍以上)は買っていない
- 高配当すぎるゾーン。超大穴は回収率がすごく低い。全通り買いする人がいるので買い人気の馬が過剰人気になっている
買うゾーン
指数がそこそこ高くて、オッズもそこそこ高いゾーン。
そこに一番儲かる馬券が転がっているイメージ。
馬券種について
複勝、ワイドは、予想の精度を上げることと人気薄馬を中心に狙うことが大事。
3連複は、どのくらいの配当ゾーンを狙うかによって必要資金が変わる。
10倍未満なら10万円あれば十分だが、1000倍以上の買い目だけを狙うなら1000万円ぐらい欲しい。
対象レース
新馬、障害を除く全レースが対象。
但し、得点が低い馬ばかりのレースは買わない。
JRDBの基準オッズを使って、人気馬が沈みそうなレースは他の馬の点数が高くなるように補正している。
1番人気が飛ぶレースだけを選ぶだけで回収率はだいぶ変わる。
指数が高い馬がいないレースは買わない。
金額式
残高の8%が払い戻される計算式。
例えば残金が100万円の場合、100万円×0.08÷オッズ。
オッズが4倍の場合、8万円÷4(オッズ)=2万円。
上記の計算で100円に満たない場合は買わない。
例えば8万÷1000(倍)=80円となり、購入しない。
得点計算式や抽出条件の修正
半年スパン。
数か月だと運要素が大きくわからないため。
自分の投票によるオッズ下落を考慮する
自分の投票によるオッズの下落も考慮して馬券を買っている。
実際に購入した「買い目」を分析する
過去のデータ分析よりも大事なのが、自分が実際に購入した買い目の分析。
特定の券種だけ成績が悪い、特定の競馬場だけ成績が悪い、特定の時期だけ成績が悪いといった、自分の買い方の弱点が見えてくる。
例えば単勝の成績が悪い場合は、単勝の買い方を変えたり、単勝の掛け金を減らしたり、単勝を買うのを一時的に中断したりといった対策をとっている。
卍さんの馬券術まとめ
以上となります。
とても参考になりますが、卍さんの馬券術が広まった現在だとこのまま再現しても回収率100%を越えるのは難しいかもしれません。
オリジナルの馬券術にこれらの考えの良いところをとっていくと良いかもしれませんね。
それでは素敵な馬券ライフを!